この前、高島屋の展示会で雲の椅子に座ったお客さんに
「この椅子より座り心地のいい椅子が民博にあった。」
そう言われた。
ちょうどその時、新作の椅子を試作していたところだった。しかし、納得のいく座り心地にならなくて頭をかかえていた。どんな、小さなヒントでも欲しかった。
その椅子に座ったら何か見つかるかもしれない。藁にもすがる思いで、その椅子に座るためだけに大阪の万博記念公園にある国立民族歴史博物館に足を運んだ。
「国立民族歴史博物館(みんぱく)」
世界各国の諸民族の生活を知る衣食住などの生活用具をはじめとする文化人類学・民族学の研究活動とその成果を展示公開する博物館。
軽い気持ちで、「みんぱく」に行ったのだが、とんでもない所だった。
私が今まで経験したこと勉強したこと全てがそこにあった。
まるで、自分の脳の中を探検しているようだった。
インド・仏像・イタコ・アイヌ・祭り‥…
いつもなら、美術館などに行くと刺激を受けて創作意欲が湧いてくるのだけれど、今回は不思議とそんな気持ちにならなかった。
その代わりに、なぜだか分からないけれど
「あっている。」
そう確信した。
そう、全てが繋がっていたことに驚いた。色々と興味のあることが右往左往していたが全て同じ円の中だった。
昔の人々は、自然の脅威と恩恵を神と呼んだり悪魔と呼んだりする。
魔除けやまじない、祈りや祭りなどすべては、人の手の及ばない自然との関わりだったのだろう。どこの世界でも同じようなことをしていることに驚かされる。
気がつけば、3時間近くもみんぱくを堪能していた。
もし、私が内閣総理大臣だったなら、小学生や中学生の修学旅行は京都や奈良ではなく、みんぱくに行くことを義務づけるだろう。
もしかしたら、みんぱくの展示物の中に前世の自分の作ったものがあるかもしれない。
なんだかそんな気がした。
そして、帰りに太陽の塔と会話を交わして帰ってきた。
「少しだけ、距離が縮まったような気がする‥…またな」