初めて連絡をもらったのが、未来シアター放送後の2015年3月末のことだった。

仙台の鰻と日本料理の飲食店の主人から送られてきた一通のメールから始まった。

「かねてより思いあぐねていた疑問を質問させて頂きたいのですがお忙しいと思いますのでご返事はいつでも結構です。
江戸前の鰻重を食べるときに鰻とご飯を一緒に口に入れるのですが、箸先が細いと落ちてしまい、太いと鰻がうまく切れ
ないのです。現在リサイクルの持ち手が6角形の箸を使っておりますが、あまり塩梅がよろしくありません。
竹製の割り箸も使っておりますが上品さにかけます。究極の鰻専用箸というものがどうゆうものかいつも考えています。
宮保様にぜひご意見をお聞かせ頂きたいと思いました。」

文面から、主人のこだわりと鰻に対する愛情とこだわりが伝わってきた。
私なりの空想上での鰻を食べやすい箸の見解と形状を伝えた。

主人は、その答えに「ワクワクしてきます。」と返してきた。

プロダクトデザインの仕事は、日常の疑問や不便に感じていることを、「当たり前」として受け流すのではなく、「そう、あれ実は、もっといい方法があるんじゃないかないかと思っていたけど、まっこのままでいいか。」そう感じていることを形にするし仕事だと言っていた人がいた。第三者にこの手があったかと共感させるのだ。

今までに世の中になかったものを生み出す。
ありがたいことに、私の仕事は、それを平面だけではなく実際に形にすることができる。

二人の想いが高い次元でシンクロし、ぶつかり合う。

箸先の幅をミリ単位で調節し、箸先の厚みや持ち手の形状を何度も調整を重ねて導き出された箸。
試作と飲み会を重ね、今年の7月30日の土用の丑の日へ普及を目指して、6月23日から正式販売を開始した。

うなぎ屋さんの主人も、この箸を一人でも多くの方に使ってもらい、うなぎを美味しく食べて欲しい。その想いに溢れており、このお箸が歩む道に最高の花道を用意してくれました。

まず、形状で意匠登録を取得し、さらに箸の名前の命名を「うなぎ博士」として世界的に有名な日本大学の塚本教授に依頼した。
「ウナギはどこで産卵するか?」この謎は,古代ギリシャのアリストテレス以来,生物学者を悩ませてきた。
その謎を明らかにしたのが塚本教授である。これ以上ない名付け親に命名してもらった。

その名は、

「はしっこ」

このお箸がうなぎ屋さんのステータスになる日を願っている。
新しいスタイルが、この夏から始まる。

A4テーブル用チラシ. jpeg

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