4月9日
「フレンチレストランのお箸を作ってもらえませんか。」
富山のホテル『リバーリトリート雅樂倶』グランシェフからの電話だった。
以前に名古屋のフランス料理のお店のお箸を手掛けたことがあったので、そんなに難しいことではないだろうと思い引き受けることにした。

4月23日
富山からお箸の打ち合わせにご来店。
数あるお箸の中から一番複雑な形のお箸を手に取り
「この形で行きましょう。」
それが『KATANA』日本の刀をイメージして作った携帯用の箸だった。

携帯箸『KATANA』

携帯箸『KATANA』

個人的にはお気に入りのお箸で、何本か制作して、最後の一膳だけが残っていただけだった。
この出逢いのためにこの一膳が残っていたのかと思えた。

4月26日
今度は私が富山へ
お箸を作るにあたり、お店の雰囲気や料理の印象などを実際に感じてみたかった。
ホテルは富山県最大の河川、神通川のほとりに佇んでいた。
一歩中へ踏み入れると、そこはまるで美術館のようにアートで満たされていた。
そのアートの数々に圧倒されたままレストランへ案内され、神通川を眺められる窓際の席へ

いよいよ料理が運ばれてきた。
ギャルソンが全ての料理を丁寧に説明してくれる。
このホテルにふさわしい絵画や彫刻のように盛りつけられた芸術的な創作料理。
器も全て作家さんの作品だという。
文字では到底表現出来ないので、実際に見て感じてもらいたい。

この料理や器と合わせるお箸・・・

食事を進めながらイメージを膨らます。
富山の新鮮な魚介、野菜、水、山、自然

どんなお箸が出来上がってくるだろうか、わくわくしてくる。

数日後、試作品を見てもらい何度か意見をぶつけ合い、二種類の形を作ることになった。

 

『 Mountain sticks 』

富山の立山連邦をイメージした箸。この山から流れてくる水が野菜を育て、海へ流れる。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

『 Aqua sticks 』

水や流れを抽象的に表現した箸。ゴツゴツした山の形とは対照的な流線型の柔らかな形。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

同じような形で全て違う形。自分の好きな形を選んで食事を楽しんでもらう。
このスタイルは、始めて個展をした2008年から変わらないことを改めて実感する。

すべての作品は誰か一人と出会うために作られている。
百人いれば百通りの好みがある。
だから、全て違っていい。

本当に楽しい仕事をさせてもらいました。

レストランの紹介

Cuisine regionale L’evo

〒939-2224 富山県富山市春日56-2 リバーリトリート雅樂倶内 TEL.076-467-5550
www.levo.toyama.jp
営業時間 / デジュネ11:30〜13:00(LO) ディネ18:00〜21:00(LO) 定休日 / 水曜日

〈地水〉火風空

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