そんなつもりがなかったが、なぜか縄文時代にタイムスリップ。
以前から、一度行って見たかった山梨県北杜市の清春芸術村。
そこだけ行くにはもったいないということで、ここも以前から気になっていた静岡県静岡市の芹沢銈介美術館へも行くことにした。
芹沢銈介、染色家の人間国宝。文字を絵として表現したり、文字をデザインしそのまま模様として生地に描く。現在のテキスタイルデザイナーである。想像以上に素晴らしかった。何度でも足を運びたい美術館だ。
芹沢銈介には、もう一つの顔がある。それは蒐集家だ。
世界各国の民族アート作品から縄文土器までとその興味の幅はとてつもない。
その美術館があるのは、日本人なら誰もが知る弥生時代遺跡の登呂遺跡がある場所なのだ。
個人的には、弥生時代にはあまり関心がないが、無料で展示を見れるとなれば、お邪魔するのが礼儀である。
そして、その中で私は重大な発見をしてしまう。
私の中で、縄文時代の火焔型土器と双璧をなす、水煙文土器が同時に展示される特別展が現在開催されていることを知った。
それが、芹沢銈介美術館の後に行こうと思っていた清春芸術村がある山梨県の山梨県立考古博物館だったのだ。
千載一遇とはこのことをいうのだろう。
いや偶然なのか、それとも誘われたのか、
清春芸術村に行こうと思わなかったら
芹沢銈介美術館に行っていなかったら
登呂遺跡博物館に入っていなかったら
その日に特別展がやっていなかったから
水煙式土器に出逢うことはなかった。
火焔式土器だけでは、あのフォルムや細部の疑問が解決できなかったが、水煙式土器と並べて見比べると、なぜ土器があのような形になったのか、少しだけ氷解したような気がした。
山梨県立考古博物館では、さらにおまけまでついてきた。
なんと、縄文好きの縄文人による縄文人のためのフリーペーパーマガジンが発刊されていることを知った。しかも、今年8月に第1号が発刊されたばかりで、その記念すべき第1号の特集が芹沢銈介さんの縄文コレクションということに驚きを超えて、もはや運命すら感じるほどだ。