行き詰まっているわけではない。
スランプというわけでもない。

しかし今は、器の模様を彫る気にならない。

別冊太陽「縄文のチカラ」と、岡本太郎の「縄文土器論」を読み、創作意欲はみなぎっている。

そのヒントを求めて金沢にある鈴木大拙記念館へ
そこには、驚くべき邂逅が待っていた。

昨年の八月に東京へ行った際に、出光美術館へ「文字の力・書のチカラ」を観に行ったことがあった。
その時の私は、白川文字学や武田双雲など本を読み、文字をというものに興味を持っていた。
しかし、その展覧会を観ても全く心に引っかかるものがなく、30分もしないうちに美術館をあとにした。

そのなかで唯一、足が止まった書があった。
誰の作品かすら覚えていなかったがインパクトはあった。

「◯△ロ」(まる さんかく しかく)

こんな書もありなんだ。文字じゃなくてもいいんだ。
そう思ったのを覚えている。

そして今日、大拙記念館で、この「◯△ロ」に再会した。
この書を書いたのが仙厓という禅僧だった。

禅を世界へ広めた鈴木大拙と禅僧の仙厓。

あの時は、あまり深く掘り下げなかった「◯△ロ」
しかし、時が経ち大人になり、さんまのはらわたの味がわかるように、春菊の味がくせになるように、
「◯△ロ」がピタリとパズルのようにはまる時がきた。

あの時、出光美術館へ誘われた意味がここにあったのか。

興味のある方は「◯△ロ」を調べてみてほしい。
その意味はあえてここでは書かないことにする。

「◯△ロ」
これを模様にした器を彫ってみたい。
たぶんその名前は『宇宙の器』になるだろう。

今度は仙厓の本を読むことにしよう。

 

鈴木大拙記念館 内部回廊にて

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鈴木大拙記念館 水鏡の庭にて

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