使い込まれた箸が、里帰りするように修理に戻ってくることがあります。
指リングが割れてしまった箸。箸先が折れてしまった箸。つながっている部分が割れてしまった箸。それぞれ里帰りには様々な理由があります。
Miyabowでは、基本的には簡単な修理であれば無料で行っています。(ただし、送料に関してはお客さまにご負担いただいております。)
里帰りした箸がどのようにして修理され、どんな状態で嫁ぎ先に帰っていくのかをご紹介します。
今回里帰りした箸は、2020年に注文を頂いて製作した箸です。2年くらい愛用してもらっている箸です。
「親指入れる丸の部分が割れてしまいました。修理は可能でしょうか連絡ください。」お客さんからこんな連絡がきました。
「もちろん大丈夫です。修理はできます。こちらまで送ってください。」
送られてきた箸は、リングが割れて、箸先もかなりすり減っていました。さらに磁石から錆も出ていました。さあ、入院して悪い部分を治して綺麗になって退院してもらいましょう。
まずは、連結している箸をばらばらにして、悪い部分を取り除きます。
錆びた磁石を、撃ち込まれた銃弾を取り出すように、えぐり出します。
次に、割れたリングを切除します。
取り付けてあったリングと同じ大きさのものを作ります。
元の位置と同じ角度、同じ高さに接着します。
あとは、箸の長さは、若干短くなってしまいますが、箸先を整えて滑り止めの溝を彫ります。仕上げに、きれいに磨いてあげます。最後に分解した箸をつなぎ直します。あとは塗装をして修理は完了です。
箸先も綺麗になりました。
指リングもこのとおり。
新品同様元通り。
修理されるために戻ってきた箸からは、様々な歴史が見えてきます。驚くほどきれいに使われてきた箸。何年も使い込まれて箸先の溝がなくなってしまった箸。指が当たる部分がへこむほど使い込まれた箸。
そんな箸が戻ってくると「おかえり。頑張ってきたね。きれいに直してあげるからね。」と声をかけてあげたくなります。
「いってらっしゃい。また頑張っておいで!」
Miyabowは、いつでも里帰りする箸を待っています。